生活習慣病・内科
生活習慣病・内科
当院では、肥満症、脂質異常症、高血圧症、高尿酸血症、睡眠時無呼吸症候群などの生活習慣病に関しても積極的に治療を行っております。頸動脈エコー検査や、血圧脈波検査(ABI/PWV)などの動脈硬化を評価する検査も行い、心血管疾患のリスクを評価して治療をおこなっていきます。健康診断で異常を指摘された場合や、その他ご不安がある場合には、お気軽にご相談ください。
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積が基盤となり、高血糖、高血圧、脂質異常などの代謝の異常を引きおこし、それらが集積することで動脈硬化が進行し、狭心症や脳梗塞などの心血管疾患のリスクが上昇する状態のことを指します。図に診断基準を記載しておきます。脂肪組織は、インスリンの効き目を悪くしたり、血栓の形成を促進したり、血圧を上昇させたりする「悪玉のアディポサイトカイン」や、インスリンの効き目を良くする「善玉のアディポサイトカイン」を分泌しています。内臓脂肪が蓄積することで、これらのアディポサイトカインの分泌の異常がおこり、上記の代謝の異常につながり動脈硬化を促進します。メタボリックシンドロームの治療で重要なことは、内臓脂肪の蓄積を改善していくことです。生活習慣の改善や、それぞれの代謝の異常に対する治療が重要となってきます。
「肥満」とは、体格指数(BMI値=体重[kg]÷[身長m×身長m])が25以上の場合を指します。BMIが35以上の場合を高度肥満と言います。ただし、「肥満」は体に脂肪が蓄積して、体重が増加したことを示すもので、病気を意味するものではありません。肥満で、肥満による健康障害があるか、健康障害を起こしやすい内臓脂肪蓄積がある場合に、「肥満症」と診断され、減量による治療の対象になります。肥満の約90%は、「原発性肥満」であり、環境や生活習慣が主な原因で、摂取カロリーが消費カロリーを上回り脂肪が蓄積して起こります。一方で、他に肥満の原因により発症した場合は「二次性肥満」といい、内分泌疾患などが原因となることがあります。肥満症ではまず3%以上の減量を、高度肥満症の場合には5〜10%の減量を目指します。治療には、ライフスタイルの改善、薬物療法、外科治療があります。糖尿病の治療薬の「GLP-1受容体作動薬」は、条件を満たした肥満症に保険適応となりました。肥満は、社会や環境による要因や個人の遺伝因子も関係しており、決して自己責任によるものではありません。当院では糖尿病専門医、内分泌代謝科専門医が、チームで適切に治療をしていきます。
動脈硬化の原因として、糖尿病、高血圧、喫煙、遺伝的素因などがあげられますが、脂質異常症は強力に動脈硬化を促進させる一つの要因です。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(善玉コレステロール)、トリグリセライド(中性脂肪)の異常で診断されます。このなかで最も動脈硬化を促進させるのはLDLコレステロールとされ、脂質異常症の治療薬の中でLDLコレステロールを下げる「HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)」は、心血管疾患の発症を予防する効果があります。また遺伝疾患でありLDLコレステロールがとても上がってしまう家族性高コレステロール血症や、心血管イベントの発現リスクが高くHMG-CoA還元酵素阻害薬で効果不十分な場合には、「PCSK-9阻害剤」という注射薬を使用する場合もあります。これら脂質の値の目標値は、冠動脈疾患の既往や、糖尿病や慢性腎臓病などの有無、その他リスク因子の有無などにより、患者様それぞれによって異なります。治療は、食事・運動療法の生活習慣の改善に加えて、薬物療法があります。遺伝的な要素などの影響も大きく、食事のみで改善に乏しい場合もございます。当院では、当院では、頸動脈エコーやABI/PWVなどの検査を用いて動脈硬化の状態も把握しながら、治療していきます。
診察室での繰り返しの測定で、最高血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、あるいは、最低血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上であれば、「高血圧症」と診断されます。自宅で計測する場合は、最高血圧が135mmHg以上、あるいは、最低血圧が85mmHg以上を「高血圧症」とします。高血圧症は、「本態性高血圧症」と、「二次性高血圧症」に分類されます。本態性高血圧症は、高血圧症の約9割程度であり、遺伝的な因子や、生活習慣などの環境因子が関係して発症します。二次性高血圧症は、腎動脈狭窄症や、原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫などの内分泌疾患が原因となり発症する高血圧症であり、それらを治療することで改善する可能性があります。高血圧症は、治療せず放置しておくと動脈硬化の原因となり、脳出血や脳梗塞、心不全や心筋梗塞、慢性腎臓病、大動脈瘤、眼底出血などの原因となります。治療は、ただ血圧の数値を下げることではなく、動脈硬化の進展を予防して、臓器障害を発症させないことです。治療には、減塩、十分な睡眠の確保、禁煙などを含めた生活習慣の改善や薬物療法があります。血圧の目標値には、年齢や合併症の有無により異なります。当院では、内分泌疾患などの二次性高血圧症の鑑別なども行い、治療を行っていきます。
高尿酸血症は、細胞内に含まれるプリン体が分解される際に産生される尿酸が、過剰に産生されるか尿中への排泄が低下することで発症します。血液中の尿酸値が7 mg/dL以上で診断されます。高尿酸血症を放置すると、結晶化した尿酸が関節に溜まってしまい、炎症をおこすと「痛風発作」を発症し強い痛みを伴います。痛風発作は、足の親指の付け根が発症しやすい部位ですが、足首やひざ、手首などにみられる場合もあります。通常は1週間程度で改善しますが、放置しておくと繰り返し症状が悪化することがあり注意が必要です。痛風発作や痛風結節がある場合、尿酸値が9mg/dL以上もしくは8mg/dL以上で合併症(腎障害・尿路結石・高血圧・糖尿病・メタボリックシンドロームなど)を伴うものについては、アルコールやプリン体の摂取を控えるなどの生活指導とともに、薬物療法を含む早期の治療がすすめられます。治療の目標値は、尿酸値6.0 mg/dL未満とされています。
糖尿病、高血圧症、肥満、脳梗塞・心筋梗塞の既往のある方や、顎が小さい方などは睡眠時無呼吸症候群の危険性があります。日中の眠気や、いびきを周りの方から指摘されたような方は一度検査などをお勧めいたします。当院では、睡眠時無呼吸症候群の検査および治療(CPAP)も行っております。お気軽にご相談ください。
通院中の患者様が、発熱された場合には、抗原検査を用いて、診療を行っております。発熱された場合には必ず、事前にご連絡して、来院をされてください。